夏氷 ヨンside 3.思い出(妄想)

9月に入りましたね。
夏祭りに寄稿させていただいたもののヨンsideを漸く最後まで書くことができました。
3回の予定でしたが、書いてるうちに長くなってしまったので全4話とさせていただきます。

前回はコチラ → 夏氷 ヨンside 2.休日の朝

続きはもう少し手直しをして、今夜UPしますね。








あれからヨンは、昼近くまでウンスを離してやれなかった。
気が済むまで二人の時間を楽しんだ後、一眠りしてから身支度を整えて、屋敷を出たのは夕刻になってからだった。


スリバンの隠れ家へ向かう道すがら。
沈みゆく夕陽が空を赤く染める頃、通りを二人並んで歩いていると、突然ウンスが素っ頓狂な声を上げた。

「あっ! そういえば今朝不思議な夢を見たわ! あなたと二人で天界へ行く夢よ」
歩みを止めてヨンを見上げながらウンスは言った。
「すっごく暑かったからカフェに入ってパッピンスを食べたんだけど……」
「パ……とは氷のことですか? それなら俺も食べた覚えが」
「えっ? うそっ!」
ウンスは目を見開き、ヨンを見つめた。
「これまで見たことのない緑色の氷でした。大層美味くて俺一人ですべて食うてしまい、申し訳なく……」
「そうそう! ほっぺに付いた小豆にも気付かないくらい夢中でね」
「う……。言うてくれるな……」
ヨンは決まりが悪く、迂闊だった己を恥じた。

「イムジャ、頬に接吻は二人だけのときにしていただきたい」
「ふふっ。さあてどうしようかしら」
ウンスは口角を上げて企みを含んだ目をしている。
俺の常識を軽々と超えてくるお方だ。
俺の目が届くところなら良いのだが、それ以外では……。

ヨンは釘を刺しておかねばとウンスを睨み見て、口を開きかけたとき。
小言が飛んでくるのを察知したウンスは大声を上げて話を逸らした。
「ああっ! その後私もマンゴーのピンスを食べたのよ! あれは最高だったわ!」
「そうでした。それもよく覚えておる。俺が掬うた氷を食べるイムジャが可愛らしゅうて」
「か、可愛いって。やだわ、何言ってるの」
ウンスは照れ笑いを浮かべて、ヨンの胸をとんっと軽く叩いた。
「夫が妻を可愛いと思うて何が悪い」
ヨンは目を細めてウンスを見つめた。

往来のど真ん中で、しばしの間、見つめ合う二人。
周りの雑音がすべて消え去り、時間が止まったかのように、二人だけの世界が広がった。
ヨンは思わず抱きしめたくなって手を伸ばしかけるが、周囲の刺すような視線に気付き、その手でウンスの背を押して歩き出した。

「ねえ、他にも覚えてることはある? お店の内装とか、店員は女性、男性どっちだった?」
二人は店の雰囲気や客の様子、お互いの服装などを事細かに語り合い、記憶のすべてがぴたりと一致した。

「信じられない! 二人で同じ夢を見たってわけ? すごくリアルだったけど、まさか本当に天界へ? いや、ありえないわ!」
「ありえぬとは言い切れぬやもしれませぬ」
「何ですって?」
「イムジャは天人だ。何かのきっかけで不思議な力が働いてもおかしくない」
「……あなたそれ本気で言ってるの?」
ヨンは真剣な面持ちで頷いた。

天門が開き、辿り着いた天界で数多の医員の中からイムジャと出逢ったこと。
互いに惹かれあい、いつしかそばを離れたくないという願いを持ったこと。
毒に苦しめられ、危険な方法を用いてまでそばにいようとしてくれたこと。
姿を見失い、待つことしかできなかった無力な己のもとに舞い戻り、再び巡り逢えたこと。
そして今、この手の届く場所にイムジャはいる。
これを奇跡と言わずして何と言うのか。
(何が起きても俺はイムジャを信じる)
ヨンはとうに腹をくくっていた。


「あ、頭が痛くなってきたわ」
いくら考えても答えは見出せそうにない。
ウンスは今にも思考停止しそうな頭を押さえて言った。

「もうこれはあれね。神様からのご褒美だったと思うしかないわ」
「神の褒美、ですか」
「ええ、本当に不思議なんだもの。味や感覚まで全部思い出せるなんて」
「あの後のこともすべて覚えております。宿屋に戻り、イムジャと朝まで……」
「あああーー!!」
とんでもないことを言い出しそうな口を塞ごうと伸びてきた手を容易く避けた。
そのように可愛らしい反応をされると、からかいたくなってしまう。
ヨンは頬を綻ばせて話しを続けた。

「天界の寝台は真に柔らかく、イムジャはいつも以上に乱れ……」
「馬鹿馬鹿っ! こんなところで恥ずかしいこと言わないでよ! それを言うならあなただって」
「イムジャが俺を煽るからですよ。啼いて、俺が欲しいと強請って、何度も……」
「ああもう! やめてってば!」
いい加減にしてほしいようで足を蹴ろうとするが、それもひらりとかわした。
「俺はイムジャの仰せのとおりに行動で示しただけのこと。己が心のままに過ごして良いとお許しくださったのはイムジャだ」
にやりとヨンは笑ってみせた。
「やっぱりあんなこと言うんじゃなかった……!」
ウンスは天界での情熱的な一夜を思い出しているのか耳まで赤くして、手で顔を覆っている。
ウンスばかりを責めていたヨンだが、天界の閨で異常な興奮状態にあったのはヨンも同じだ。
無理をさせてはいけないと思うのに歯止めが利かず、執拗に攻め立てた。
大胆に淫らによがる姿に煽られて、何度も何度も貪った。
天界で激しく求め合った一夜がヨンの脳裏に甦り……。

「イムジャ、クッパはまた次の機会ではいけませぬか?」
「へ? 何で? 連れて行ってくれるって言ったじゃない」
大きく目を見開いて、首を傾げるウンス。
「やはり今日はイムジャと二人で過ごしたく……」
「二人で? ここまで来ておいて何言ってるの。ってあなたまさか今夜も?」
「その、まさかです」
平然と言ってのけるヨンに、ウンスは唖然とした。

(朝からもさんざん致したっていうのに、この人の性欲どんだけ凄いのっ!)

「だ、駄目よ! 今日はもう駄目! 約束守らないって言うんなら、しばらく禁止にするわよ!」
「くっ、イムジャそれは……」
「高麗の武士が約束をふいにして平気なの?」
「平気……ではありませぬ」
「そうでしょうとも。さあ、遅くなるといけないわ。急ぎましょ」
そう言うとウンスは早足で歩き出した。

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イチャイチャするヨン( ´艸`)

良いわぁ~(*´∇`*)

朝まで!しかもクッパです食べにも行かずに…
流石ウダルチのテジャン、体力が違う(笑)

しかし夢…にしては二人とも覚えてるなんて!

ハッピンス、私も食べてみたい(^-^)/

Re: イチャイチャするヨン( ´艸`)

>いつきさん
起きてすぐなんてね(*´艸`)
どんだけ飢えてるの!?って感じですよね(^▽^)

夢なのか現実なのか。
不思議な体験でした。

本場のパッピンスを食べられず、今になって後悔してます(´;ω;`)
10月に新大久保へ行くので食べられるといいなぁと思います。

コメントありがとうございました!
プロフィール

ちはや

Author:ちはや
2013年夏、BSフジで「シンイ-信義-」を見てハマりました。
シンイ熱とヨンへの愛はまだまださめません!

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