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夏氷 ヨンside 1.天界デート(妄想)

Category - シンイ妄想
R様の夏祭りに寄稿させていただいた話のヨンsideです。

ウンスsideは夏祭り会場にあります。→ 夏氷(R様のブログ)

長くなったので3つに分けました。
まだ全部書き終わっていないのですが、夏が終わる前に!
書けたところまでUPします。
楽しんでくださったら幸いです。







2014年夏、ソウル。
とあるカフェに、仲睦まじい夫婦の姿があった。

「お待たせいたしました。緑茶ピンスです」
テーブルに運ばれてきた大きな器に盛られた緑色の物体に、ヨンは目を疑った。
「どう? 美味しそうでしょ! あなたでも食べられるように、緑茶にしたのよ」
「一体何なのですか、これは」
「パッピンスよ。氷を細かく砕いて緑茶のシロップをかけて、小豆とお餅と緑茶アイスをトッピングしてあるの。うーん、美味しい! 暑い夏にピッタリよね」
「パ……。これが食べ物だとは信じられぬ」
「ほら、あなたも食べてみて。はい、あーん」
ウンスはさらさらの氷をスプーンですくい、ヨンの口の前に差し出した。

(これを食えと?)
表情には出さなかったが、ヨンは動揺していた。
しかも恥ずかしげもなく人前で幼子に食わせるようなまねをするとは。
俺はイムジャの子になった覚えはないぞ。

「イムジャ、このような場所でお止めください」
ヨンは眉をひそめた。
「もう、そんな怖い顔しないで。いいじゃない、ここは天界よ? 誰も私たちのことなんて見てないわ」
「しかし……」
「いいから、ほら。溶けちゃうわ。あーんして?」

ヨンはため息を吐いた。
ウンスは一度言い出したら引かないし、何よりヨンはウンスのお願いに弱いのだ。
観念したヨンは、差し出されたスプーンを恐る恐るぱくりと口にした。

(何だこれは!)
初めて食したパッピンスは、ヨンに強い衝撃を与えた。
普段飲んでいる茶とは少々違う味だが、口の中で氷はさらりと溶け、緑茶のすっきりとした味わいと小豆の上品な甘さが絶妙だ。
「どう? 美味しいでしょ?」
ヨンは黙り込み、パッピンスをじっと見ている。
すると今度は自らすくって口に入れた。
「う、美味い」
ぽつりと呟き、一口すくって食べ、また一口。
次第にその手が止まらなくなり、ついには器を持ってかき込むように食べだした。
あれほど警戒していたパッピンスはすべてヨンの腹に流し込まれ、器の底に溶けた氷も綺麗に飲み干してから器を置いた。

置くと同時に殺気を感じ、ヨンは息を呑んだ。
(いや、殺気ではなく、怒気……)
気の漂う方向に顔を向けると、ウンスが冷たい目で睨んでいた。
「イムジャ、その、これは……」
「それ、一人で全部食べちゃったの? 私、一口しか食べてないのに、ずるいわ!」
「イムジャ。すまぬ」
しゅんとするヨンを見て、ウンスはため息を吐いた。
「それ、そんなに美味しかった?」
ヨンはこくりと頷いた。
「美味くて、止まらぬようになって……」
「ああそう。お口に合って良かったわ。って、さっきから気になってるんだけど、気付かない?」
「何です?」
ウンスはにやりと笑った。
「左のほっぺに、小豆がついてるわよ」
「……!」
おそらくかき込んだ時についてしまったのだろうが、夢中で食べていたせいか全く気付いていなかった。
慌てて拭い取ろうとしたヨンの左手をウンスは押さえる。
(何をなさる)
ヨンがそう思った次の瞬間、ウンスはヨンの左頬に顔を寄せ、唇で小豆をちゅっと挟みとって口に含んだ。
唇が離れる間際に、ヨンの頬をちろとウンスの舌が掠めた。

ほんの数秒の出来事だった。
ヨンはウンスの意図が掴めず、なすがままで動くことができなかった。
はっと我に返り、ウンスに口づけられた左頬を手で押さえた。
ウンスの柔らかな唇と舌の感触。
頬が、顔が熱くなる。

「イムジャ! 公衆の面前で何ということをなさるのです!」
ウンスはおかしさを堪えきれず、あははっと笑った。
「いいじゃない、楽しみにしてたのに全部あなたに食べられちゃったのよ。小豆の一つくらいくれてもいいでしょう?」
「イムジャ、そういう問題ではありませぬ!」
「もう、そんなに怒んないで。天界に来てまで小言はよしてよ」
ウンスはヨンを見つめて、優しく微笑んだ。
「ここは天界よ。ここにいる間は、重い鎧を脱いでもいいんじゃない?」

ウンスの言葉にヨンの胸はどくりと鳴った。
そうだ、ここは天界だ。
高麗王室も、面倒な高官たちも、戦うべき相手も、何もない。
そばにいるのは愛おしいイムジャだけだ。
重く窮屈な鎧を脱ぎ捨て、心を解放せよと。
(それも悪くないかもしれぬな)
イムジャはいつでも俺の心を軽くしてくれる。
イムジャのそばにいるときくらい、心のままに過ごしても良いだろう。
そうと決まれば――。

ヨンは穏やかな笑みを浮かべて言った。
「分かりました。ではイムジャ、その……。食べたいのでしょう? 今度はイムジャの好物を好きなだけ食べてください」
「ふふっ、いいわね! そうこなくっちゃ!」
目を輝かせながら注文するウンスに、ヨンは目を細めた。

しばらくしてテーブルに運ばれてきたのは、先程よりも大きな器に山のように盛られたマンゴーのピンスだ。
ヨンはあまりの大きさに目を見張った。
「イムジャ、それを一人で食べるおつもりですか?」
「うん。だって、今食べておかないと、次はもう無いかもしれないでしょ」
ウンスは一口食べて、更に顔を輝かせた。
「ああ、美味しい! これにして正解だわ!」
「イムジャは食べるのがお好きですね。真に」
美味そうに食うイムジャをそばで見るのが好きだ。
ウンスの喜ぶ顔を見て、ヨンは自分のことのように嬉しくなった。

「あなたもどう? 食べてみる?」
ウンスはスプーンを取ってヨンに渡した。
「いえ、俺は結構……」
ヨンは少し考えて、パッピンスをひとさじすくい、ウンスに差し出した。
「イムジャ、どうぞ」
ウンスは驚いて、椅子から転げ落ちそうになっている。
イムジャがそのように驚くことを俺はしているのか?
「ちょっと、どうしちゃったの?」
「お返しです。さあ早く、口を開けて」
戸惑っている様子のウンスだが、ぱくりと食べて、美味しいと呟いた。
妻への愛情か、はたまた父性愛か。
ヨンの胸に愛おしさが込み上げる。
このように食べさせ合うのも良いものだ。
ヨンは笑顔でウンスを見つめた。


「はあー!美味しかった!」
「食べ終えましたか。では、もう出ましょう」
「ええっ! もうちょっとゆっくり……」
「早く。行きますよ」
ヨンは、がたっと椅子から立ち上がり、すたすたと歩き出した。
「あっ、待って!」
ウンスも立ち上がって、出口へ向かうヨンを追いかけた。

会計を済ませてウンスが外に出た途端、ヨンは待っていたと言わんばかりに、素早く隣に並んで細い肩を抱いた。
「もう何なの? そんなに急かして、どこか行きたいところでもあるの?」
「そうだな……。涼しくて静かで、イムジャと二人になれるところが良い」
「な、何言ってるの!? 駄目よ!」
「駄目とは? 一体何を想像しておられる? 二人で涼める場所など天界にいくらでもあるでしょう?」
顔を赤らめるウンス。ヨンは意地悪く笑った。
(心のままに。イムジャの仰せのとおりに振舞おう)

「イムジャにはもう一つお返しをせねばならぬゆえ」
「何かあったっけ?」
ウンスが首を傾げると、ヨンは自分の左頬を指さした。
「お返しなんて、いらないわよ……」
照れて目を背けるウンスのことが可愛くてたまらない。
「つれないことを言わないで」
ヨンは街中であることを気にも留めず、ウンスをぎゅっと抱きしめた。
「早く連れて行ってください。イムジャと二人になりたい」
耳元で囁かれて、ウンスの顔はますます赤くなる。
「もう、駄目だってば……」

真夏の太陽に見守られながら、仲睦まじく寄り添い歩く夫婦の姿は、人込みに紛れて消えていった。

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2 Comments

h-imajin  

ソウルで食べたかった・・・

パッピンス・・・(;;)
ヨンが美味しそうに食べてるので余計に。。

甘甘なふたりをご馳走様でした(^▽^)
しかしヨン、体面を気にしなさずぎでは。。^^;

2014/08/26 (Tue) 23:57 | EDIT | REPLY |   

chihaya  

Re: ソウルで食べたかった・・・

>h-imajinさん
この話を書きながら何度も思いました。
何故食べて来なかったのだと…!(T_T)
でも、初海外だし、冷たいものを食べてお腹壊して迷惑かけたくなかったので…(^_^;)

甘々な話を書いてる時が一番楽しいので、そう仰っていただけると嬉しいです♪
最後の方のヨンは心を解放してますからね(笑)
私の中の若ヨンってこんなイメージです(^_^;)

コメントありがとうございました!

2014/08/27 (Wed) 00:17 | REPLY |   

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